寝台特急「あさかぜ」とは?

寝台特急「あさかぜ」とは?

寝台特急「あさかぜは、昭和31(1956)年11月19日ダイヤ改正で日本最初の寝台特急として誕生しました。


東京〜博多間を運転され、当初は戦前製の客車なども含む一般客車で運転していました。


登場した時の東京〜博多間の所要時間は17時間30分でした。


17時間30分という所要時間はどうのようにして作られたかを説明します。


まず、昭和28(1953)年3月に京都〜博多間を山陽本線経由で運転する客車特急「かもめ」が登場しました。


特急「かもめ」は京都〜博多の全区間をC59やC62型蒸気機関車の牽引で10時間40分で運転されていました。


そして、寝台特急「あさかぜ」が登場した昭和31(1956)年11月19日ダイヤ改正では、東海道本線の電化が完成しました。


戦後、東海道本線は電化区間を浜松・名古屋・米原と少しずつ延ばしてきたものの、東京〜大阪間を走る列車は電気機関車と蒸気機関車のリレーで運転されていました。


東京〜大阪間の客車特急「つばめ」・「はと」も例外ではありませんでした。


しかし、東海道本線の電化完成により東京〜大阪間を電気機関車だけで運転できるようになりました。


客車特急「つばめ」・「はと」もスピードアップが図られ東京〜大阪間を7時間30分という当時最速の所要時間による運転となりました。


客車特急「かもめ」と客車特急「つばめ」・「はと」。


この2つの列車の所要時分を足すと18時間10分。


18時間10分から両列車が重なる京都〜大阪間の所要時間30分を引くと17時間40分となり、これが寝台特急「あさかぜ」の東京〜博多間の所要時間となりました。


寝台特急「あさかぜ」は東京〜九州間のビジネス利用にベストな時間設定とするため東京を夕方に出発し博多に翌日の午前に到着するという列車でした。


東京対九州の中間にあたる京都や大阪などは深夜に通過とすることとなります。

当時、京都や大阪などを深夜に通過することは全くないことといって良いぐらいでしたので当初はこの設定に大阪鉄道局が強く反発しました。


そこで深夜ではあるものの、京都・大阪・神戸では停車するなどして大阪鉄道局の理解を得ました。


紆余曲折はあったものの、東京〜九州間のビジネス利用に的を絞った設定は好評で高い乗車率でした。


のちに、寝台特急「あさかぜ」に代表される東京〜九州間の夜行特急列車群を「九州特急」と呼ぶようになりました。


寝台特急「あさかぜ」は時間設定は好評でしたが、使用される客車は寄せ集めで急行列車にも使われるものでした。


そこで、特急列車にふさわしい車両に置き換えようと開発されたのが20系客車です。


20系客車は、昭和33(1958)年10月1日から寝台特急「あさかぜ」につかわれました。


20系客車は、「固定編成で一般客車との連結を考慮しない」、「列車全体の電源をディーゼル発電機を搭載した電源車でまかなう」といった当時としては画期的な発想で開発されました。


20系客車は、当時は珍しかった冷暖房を全車に完備し、ホテルのような心地よさもあって「東洋一の動くホテル」として絶賛されました。


20系客車の夜をイメージした青い車体は、のちに「ブルートレイン」という愛称を生み出しました。


20系客車を寝台特急「あさかぜ」にちなみ「あさかぜ形」と呼ぶこともあります。


寝台特急「あさかぜ」は、東海道新幹線開業後も好評のうちに運転されました。


昭和45(1970)年10月1日〜昭和50(1975)年3月10日の最盛期には、定期列車として東京〜博多間に2往復、東京〜下関間に1往復の3往復が運転されていました。


寝台特急「あさかぜ」は、昭和33(1958)年10月1日以来20系客車で運転されてきましたが、昭和47(1972)年3月15日ダイヤ改正から東京〜博多間の2往復のうち1往復を14系寝台客車14両編成に変更となり、20系客車以外の車両が使用されました。


14系寝台客車による「あさかぜ」は昭和50(1975)年3月10日ダイヤ改正で臨時列車化されてしまい、20系客車による2往復体制となります。


寝台特急「あさかぜ」は、定期列車として再び20系客車だけの運転となりました。

しかし、その体制もすぐに変化が訪れ、昭和52(1977)年10月1日に1往復が、昭和53(1978)年2月1日には最後まで20系客車で残っていた1往復も24系25形に置き換えられました。


寝台特急「あさかぜ」は、20系客車を昭和33(1958)年10月1日以来およそ20年間定期列車として使用してきましたがここで終了しました。


以後、寝台特急「あさかぜ」と20系客車の関係は、あさかぜ81・82号などの臨時列車だけとなります。


ちなみに、昭和53(1978)年2月1日に置き換えられた寝台特急「あさかぜ」は、東京発着の「ブルートレイン」では最後まで20系客車が使用された特急列車でした。


寝台特急「あさかぜ」は、国鉄時代末期になるとブルートレインのグレードアップの先駆けとなります。


まず、昭和61(1986)年11月ダイヤ改正からB寝台4人用個室「カルテット」の連結と食堂車・各寝台車の内装が刷新されました。


昭和62(1987)年3月14日からはシャワーとミニロビーを備えたB寝台個室「デュエット」が連結されました。


昭和62(1987)年4月1日に国鉄が分割民営化されると、2往復運転されていた寝台特急「あさかぜ」は、東京〜博多間の1号と4号がJR東日本、東京〜下関間の2号と3号がJR西日本の受け持ちとなります。


リニューアルはJRとなってからも続けられ、それまでB寝台だけであった東京〜下関間の2号と3号に、平成2(1990)年3月10日からA寝台個室「シングルデラックス」とシャワー室・売店・自動販売機を設けたラウンジカーが連結されました。


接客設備を中心としたグレードアップをした寝台特急「あさかぜ」ですが、「北斗星」のような人気は得られず新幹線や航空機といった競合交通機関に利用客を奪われるいっぽうでした。


平成5(1993)年3月には1号と4号の食堂車が営業休止に追い込まれてしまいました。


そして、平成6(1994)年12月3日ダイヤ改正では東京〜博多間の1往復が廃止され、臨時列車「あさかぜ」81・82号に格下げされました。


昭和31(1956)年11月19日ダイヤ改正以来の定期列車による博多直通が消滅しました。


東京〜博多間の臨時列車として残った「あさかぜ」81・82号も、平成12(2000)年12月の運転を最後に廃止されます。


平成12(2000)年12月ダイヤ改正以降、寝台特急「あさかぜ」は東京〜下関間の1往復だけが運転されていましたが、平成17(2005)年3月1日ダイヤ改正で廃止され、寝台特急の元祖「あさかぜ」はなくなりました。


なお、寝台特急「あさかぜ」に使用された20系客車は、埼玉県さいたま市にある鉄道博物館で見学できます。

20系客車が寝台特急「あさかぜ」として走る姿は見れないものの、車両は見学できるため、鉄道博物館に行ってみてはどうでしょうか。


現代は、新幹線や飛行機・高速バスなどの交通機関が発達するいっぽうで寝台特急などは存在自体が薄くなっています。


スピードや設備面で見劣りするのも確かです。


ですが、移動時間が多くなるとともに思い出も多くなることを思い出してほしいものです。


ゆっくりと流れる景色を眺めつつ、日本の風景を感じて味わえるのは列車の旅ならではですから。



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