寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止

寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止

寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、平成27(2015)年春の運転で廃止されます。


寝台特急「あかつき」が誕生した昭和40(1965)年10月1日ダイヤ改正から始まる関西発着の寝台特急はすべて廃止されることとなりました。


廃止の理由として、共用区間での保線作業時間の確保、青函間の牽引機関車、使用車両の老朽化などがあげられます。

 

1.青函共用区間での保線作業時間の確保

線路は、列車が何度も走る間に列車の重量による衝撃を受けます。


これによって線路にすり減りや軌間(線路の幅)や高低の誤差などの「軌道狂い」が発生します。


「軌道狂い」をそのままにして置くと車両が不安定となって乗り心地が悪くなるだけでなく、脱線事故にもつながりかねません。


そのため定められた期間で線路保守をして、定められた状態を保つことが安全を確保する上で必須です。


線路の保守は、あらかじめ計測データや線路を歩いて見て検査・点検し、問題がある場所の特定をして補修計画を立て、レールなどの材料を運搬して作業をします。


計測データの収集は、専用車両で日中でも可能です。


しかし、実際に問題がある場所を補修する保守作業は終電〜初電車の深夜・未明に行う場合がほとんどです。


なぜなら、保線作業は規模が大きくなるほどまとまった時間が必要となるためです。


時刻表を見るとわかりますが、日本の新幹線は、ダイヤが乱れた場合を除いて0時〜翌朝5時59分まで運転していません。


これは夜間の騒音問題もありますが、保線作業のための時間を確保するためでもあるのです。


仮に新幹線の保線作業時間の確保するルールが青函トンネルを含む青函共用区間にも適用されると、どんな列車も0時〜翌朝5時59分まで運転できなくなります。


寝台特急「トワイライトエクスプレス」もこの時間帯に運転しているため、現在の運転時間のままだと運転できなくなります。


寝台特急「北斗星」や同「カシオペア」にも言えることです。

2.青森〜函館間の牽引機関車

日本の在来線で交流電化されている区間の電圧は20000Vです。


東海道新幹線など日本の新幹線の電圧は交流25000Vとなっています。


現在、青函トンネルを含む青森〜函館間は在来線の交流電化区間の電圧20000Vで電化されています。


これが北海道新幹線の一部開業によって青函トンネルを含む海峡線新中小国信号所〜木古内の82kmは三線軌条となった上で在来線と北海道新幹線の共用区間となります。


共用走行区間となる82kmの電圧は現在の在来線の20000Vから新幹線の25000Vに引き上げられます。


いっぽうで共用走行区間以外の在来線交流電化区間の電圧は20000Vです。


在来線の20000Vと新幹線の25000Vの異なる電圧に対応した車両が必要となります。


複数の異なる電圧に対応する車両を「複電圧車両」といいます。


現在、青森〜函館間で旅客列車・貨物列車を担当しているED79やEH500は交流20000Vのみに対応した車両で交流25000Vには対応できません。


そこで、EH800形交流電気機関車を製造しました。


EH800形を製造したのはJR貨物です。


津軽海峡線は本州との物流に欠かせないためです。


EH800形の新製費用は1両あたり2億円以上ということです。


比較的経営基盤が弱いJR北海道には負担が大きいと思います。


ちなみに共用走行区間では、電圧にくわえ新幹線区間の運転保安装置(ATC)にも対応する必要があり、EH800形もこれに対応できよう関係する装置が搭載されています。

3.車両の老朽化

寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止の最も大きな理由に「使用車両の老朽化」が考えられます。

(1)客車

寝台特急「トワイライトエクスプレス」に使用されている客車は24系25形です。


トワイライトエクスプレス用に改造を受けていますが、すでに40年前後使用されています。


また、食堂車「ダイナープレヤデス」に使われているのはスシ24形0番台です。


スシ24形0番台は、電車食堂車の姿をいまに伝えるという点で貴重な車両ですが、元はサシ481形とサシ489形として昭和47(1972)1月〜2月にかけて製造されたものです。


現在使用されている3編成とも、平成13〜14(2001〜2002)年秋にかけて内装を中心にリニューアルされていますが、新製されてから40年以上が経過しています。


時期的に客車を更新する必要性が出てきた時期でもあります。

(2)機関車

寝台特急「トワイライトエクスプレス」では、3種類の機関車の継走によって運転されています。


そのいずれもが旧国鉄時代に製造され、40年前後使用している車両です。

@EF81形

EF81形は、「トワイライトエクスプレス」のうち、大阪〜青森間を担当しています。


所属は、JR西日本敦賀地域鉄道部敦賀運転センター[敦]です。


ここに配置されているEF81は、平成26年4月1日現在で43、44、103、106、108、113、114号機の7両です。


このうち、106、108号機はローズピンク塗装、それ以外がトワイライトエクスプレス用の塗装となっています。


43、44号機が羽越本線新津〜秋田間電化開業用として、103号機が湖西線電化開業用早期手配車として、106、108、113、114が湖西線電化開業用として、昭和47(1972)〜49(1974)年にかけて製造されたものです。

AED79形

ED79は、旧国鉄の厳しい財政事情から改造でまかなわれた機関車です。


改造の種車となったのは、ED75 700番台です。


そのなかでも車齢が比較的若い車両が選ばれて昭和61(1986)〜62(1987)年に土崎(現在の秋田総合車両センター)、大宮(現在の大宮総合車両センター)、苗穂の各工場で34両が改造されJR北海道青函運転区(現在の函館運輸所青函派出所[青函])に配置されました。


内訳は、0番台21両と100番台13両です。


0番台は、単機および重連牽引時の本務機として、100番台は重連牽引時の補機専用機で連結位置も函館側に限定されていたため下り列車のみで先頭になっていました。


なお、100番台だけで青函トンネルを通過することは出来ませんでした。


改造にあたっては、110km/h対応のための歯車比の変更、粘着特性を維持するための軸重を増加させています。


青函トンネルを通過するために不可欠なATCは、0番台では両方の運転台に装備していますが、100番台では前述のように運用方法が限定されていることから函館側の運転台のみの装備となっていました。


改造の種車となったのは、ED75 700番台でED75のなかでは最も新しいタイプですが、それでも昭和46(1971)〜50(1975)年にかけて新製されたもので、現在の車齢は40年前後です。


平成26年4月1日現在で在籍するED79は4、7、9、12、13、14、18、20号機の8両です。


そのうち、9と18号機を除く6両に特別保全工事が施工されています。


100番台はEH500によるED79重連運用の置き換えによって全車廃車されています。

BDD51形

JR北海道のDD51は、函館運輸所[函]のみに配置されています。


ここのDD51は全重連形と呼ばれるタイプで、釣り合い引き通し管を装備し、重連運転時に次位の補機まで単弁が作動します。


平成26年4月1日現在、保留車1両(1054号機)を含む13両配置となっています。


ここのDD51も昭和40〜50年代にかけて製造された車両ですから現在の車齢は40年前後です。


このように全体的に40年前後使用している車両ばかりとなっており、時期的にも新車などに取り換える頃になっていたため廃止の判断に傾いたのではと思います。

トワイライトエクスプレス廃止後の動き

JR西日本の真鍋精志社長は平成27(2015)年3月18日に定例記者会見を行いました。


ここで、トワイライトエクスプレス用車両は老朽化しているが利用者・旅行会社から数多くのリクエストがあり、JR西日本管内だけでのツアーによる団体臨時列車を検討していると公表しました。


同時に、使用されていた車両のうち数両を京都鉄道博物館(京都市下京区観喜寺町)で保存・展示する考えであることも表明しました。



リンクには、楽天市場・楽天ブックス・楽天トラベルなどのアフィリエイトリンクもあります。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止関連ページ

寝台特急「トワイライトエクスプレス」とは?
寝台特急「トワイライトエクスプレス」とは?
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の楽しみ
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の楽しみ。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の料金
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の料金。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の予約方法
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の予約方法。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の時刻表
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の時刻表。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」編成と車内
寝台特急「トワイライトエクスプレス」編成と車内。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」日の出・日の入り表
寝台特急「トワイライトエクスプレス」日の出・日の入り表。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」でのツアー
寝台特急「トワイライトエクスプレス」でのツアー。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の歴史
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の歴史。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の寝台客車
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の寝台客車。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の機関車
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の機関車。
EF81の寝台特急「トワイライトエクスプレス」機関車運用
EF81のトワイライトエクスプレス機関車運用について。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の注目車両
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の注目車両。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運転上の特徴
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運転上の特徴。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」の時刻変更
寝台特急「トワイライトエクスプレス」は北海道新幹線開業準備のため時刻変更されます。
トワイライトエクスプレス用車両の保存と展示
寝台特急「トワイライトエクスプレス」用車両の保存と展示。
特別な「トワイライトエクスプレス」でツアー旅行
特別な「トワイライトエクスプレス」でツアー旅行。

 
ホーム サイトマップ 運営者情報など 商品・サービスについて